2017年8月14日月曜日

市場について

 メールでのやり取りがグリーン電力とは何かから、電力市場の問題へと発展していきましたので、ここでは市場に関することを個別に取り上げておきます。

まさお


2017年5月16日
読者B
まだ電源市場での価値がどのように,というよりもなぜ FIT ならば価値がつくのかをわかっていないようです。あるいは,市場で価値がつくという意味がわかっていないのかもしれません。

ただ,他の部分はだいだいいいと思いますので,このあたりはまたいつかお会いできた時にでも教えて下さい。

2017年5月17日
読者A
 お忙しいところ丁寧に説明してもらってありがとうございます。だいぶスッキリしてきました。僕が考えていたより随分と複雑でした。一般の人は多分ほんとわからないまま、電気料金がただ単にFITのせいで上昇していると思っているでしょうね。グリーン電力を使いたくなくても、そのための負担をしていることがわかったら、自分は払いたくないと言って、拒否する人が増えるのでは。

 確認の質問ですが、シェーナウ電気やLichtblickは直接売買でグリーン電力だけを買うようにしているのでしょうね。彼らの電気料金が他の電気会社よりも高いのはそのせいでしょうか。それとも電源証明書のせいでしょうか。

筆者
 どちらも、そう簡単にはいえません。

 市場で取引される卸電力は、FIT分の負担なしで取引され、FIT負担にしろ、電源証明書はそれに付随してくるに過ぎないからです。
市場では、卸電力は再生可能エネルギーが増えれば増えるほど、卸電力の価格は下がります。それは、よくいっていますが、限界費用がないからです。FIT負担や電源証明書は、取引の過程では仲介業者はマージンをかけてはなりません。
それからここでもはっきりいいますが、市場では通常、グリーン電力商品以外には電源証書付きのグリーン電力は含まれていません。FIT電力ならわかりますが。

 FIT電力と非FIT電力である再生可能エネルギーで発電された電力に関しては、法的にも直接売買が奨められます。ただし、市場にある電力のオファー量によってはそうもいっておれません。株でいう意味での先物買いは技術的にできませんので。

 本文にも書いてあるように、シェーナウにしろ、リヒトブリックにせよグリーン電力に特化した小売業者は、FIT電力の割合を30%余りと前提とした上で、その残りに電源証書の付いたグリーン電力を購入しなければなりません。この分は、ほとんどが安い水力電力です。小売業者によっては、輸入水力も多いですね。ドイツ鉄道がグリーン電力化と唄っているのは、この安い水力を使っているからです。それについても、本文で書いています。

 シェーナウなどまじめなグリーン電力に特化した小売業者は、国内で発電された風力電力の割合を増やそうとしていますが、そうなると電気料金が高くなり、競争力が落ちるので。。。

 また、本文にも書いたように電気料金に再生可能エネルギーで発電する発電設備を助成するための資金を電気料金に上乗せしています。それによって、国内で再生可能エネルギー発電設備を増やそうとしています。
それも電気料金が高くなっている一つの要因です。

 まあ、簡単にいってしまえば、太陽光、風力のほとんどはFIT電力で、これから非FIT電力が増える可能性大。今のところは、非FIT電力であるグリーン電力は安い水力が中心といえますか。ドイツはバイオマスが少ないのも意味があって、バイオガスが中心なんですが、それはピーク電力に使いやすいからです。それにピーク電力は割高なので、発電コストが高くても競争できます。その点も、熱に関する章で書いています。

 小生はシェーナウと契約していますが、それでもVattenfallのエコプアより安いですよ。

読者A
いくつか質問が出て来ました。


1)「株でいう先物買いは技術的にできませんので。」
電力市場では先物買いをしていると書かれています。6年先までも。ドイツ語でのTerminmarktはそうではないのですか。
https://www.next-kraftwerke.de/wissen/strommarkt/energieboerse-eex

2)「グリーン電力に特化した小売業者は、国内で発電された風力電力の割合を増やそうとしていますが、そうなると電気料金が高くなり、競争力が落ちるので。」
これがよくわかりません。再生可能エネルギーによる電力は他の電源(原子力や化石燃料に比べて)に比べて安いのではないのですか。

3)小売業者は卸電力料金を払うだけですよね。FIT負担金は消費者(認定企業を除いて)が払っているのですよね。

4)電源証明書をつけると二重の負担になるとおっしゃっていましたが、どの程度の負担になるのでしょうか。

5)グレー電力、グリーン電力、FIT電力、非FIT電力・再生可能エネルギー電力がすぐわかるようなページを描いていただけるとありがたいです。それも発電業者、電力会社(卸業者と小売業者)、消費者とレベルがありますよね。日本でも同じ仕組みだとおっしゃっていましたが、あまりわかっている人はいないのではないかと思います。

筆者
1)「株でいう先物買いは技術的にできませんので。」
電力市場では先物買いをしていると書かれています。6年先までも。ドイツ語でのTerminmarktはそうではないのですか。
https://www.next-kraftwerke.de/wissen/strommarkt/energieboerse-eex


 ここでは、「株でいう」といっていることに注意してください。もちろん電力市場でも先物買いはできますが、それは株のようにはいかないといっています。常に同じ量を発電している原子力などは可能ですが、発電量に変動のある再生可能エネルギーでは不可能です。なので、再生可能エネルギーのほとんどはスポットマーケットで取引されます。

2)「グリーン電力に特化した小売業者は、国内で発電された風力電力の割合を増やそうとしていますが、そうなると電気料金が高くなり、競争力が落ちるので。」
これがよくわかりません。再生可能エネルギーによる電力は他の電源(原子力や化石燃料に比べて)に比べて安いのではないのですか。


 卸と小売りで分けていることに注意ください。卸はFITを考えなくていいから他より安くなるが、小売りになるとFIT負担がついてきます。
FIT負担というのは、最終消費者だけが負担するものだということをはっきり認識してください。

3)小売業者は卸電力料金を払うだけですよね。FIT負担金は消費者(認定企業を除いて)が払っているのですよね。

 上の項を見てください。電気料金は消費者向けです。

4)電源証明書をつけると二重の負担になるとおっしゃっていましたが、どの程度の負担になるのでしょうか。

 電源証明書は、取引されますので、市場の動向に応じて価格が変動します。

5)グレー電力、グリーン電力、FIT電力、非FIT電力・再生可能エネルギー電力がすぐわかるようなページを描いていただけるとありがたいです。それも発電業者、電力会社(卸業者と小売業者)、消費者とレベルがありますよね。日本でも同じ仕組みだとおっしゃっていましたが、あまりわかっている人はいないのではないかと思います。

 電力のことは電力ことで区別し、電力事業者のことは今度は市場の自由化の問題にかかわっていますので、自由化のことから勉強されたほうがいいかと思いますが。
自由化についても、発電事業者、送電事業者、仲介時業者、小売り事業者がいることを書いていたと思います。

2017年5月18日
読者A
 親しくしているシェーナウ電力会社の元社長のUrsula Sladekさんに問い合わせたところ、下の答えのようにスポット市場(パリとライプチッヒ)では全く電力を購入せず、3年先まで発電業者と契約して買っているとの返事が来ました。シェーナウ電力会社は再生可能エネルギー電力しか購入していないと聞いていますが。これは一種の先物買いなのではないでしょうか。どうなんでしょう?

筆者
 これは、直接の売買契約です。それは、先物買いとは違います。Terminmarkt(先物買い)やspotmarktというのは取引所でのマーケットでのことです。その点、誤解のないように。

 今の再生可能エネルギー法は直接契約を奨めると同時に、再生可能エネルギーで発電された電力を小売りしている事業者は、多くを直接の売買契約を結んで契約していかないことには、再生可能エネルギーで発電された電力を供給したとはっきりいいにくいという問題があります。それについては、認証制度のところで述べています。

 なぜ先物買いと、直接契約が違うかということの大きなポイントは、直接契約のほうが一時再生可能エネルギーで発電された電力が送電網の中になくても、直接契約しておれば年間を通して物理的に再生可能エネルギーで発電された電力を供給していたことを証明しやすいからです。

 多分、こういってもどれだけ理解していただいたかは、とても不安ですがね。

読者A
 多分そうではないかなと思っていました。僕が前にドイツにおいて電力の8割は取引所を通さないで直接売買されると書きました。その時はグレー電力として取引されないのではとも。つまり、グリーン電力として。ですから、もしそうならば、グレー電力云々の区分は相対化されるのでは。

 それとふくもとさんが「発電量に変動のある再生可能エネルギーでは不可能です。なので、再生可能エネルギーのほとんどはスポットマーケットで取引されます。」と書かれたので、問い合わせたのです。グリーン電力を小売している業者(例えばSEWやLIVHTBLICKなど)はスポット市場では買っていないのではないですか。

 確かふくもとさんもそのようなことをどこかでおっしゃっていたような気がしますが。つまり、グリーン電力を販売している小売業者はグリーン電力として直接取引で購入している。それがグリーン電力の発電量と同じならグレー電力の分類はあまり意味はなくなる。つまり、言葉上の問題だけであると。

 どうも頭が混乱してきました。

読者A
 しつこくてすいません。

「先物買いは技術的に不可能」
 発電量に変動のある再生可能エネルギーでは不可能です。なので、再生可能エネルギーのほとんどはスポットマーケットで取引されます。

とありますが、SEWなどが3年先まで契約で買っているのは確かに取引所の先物買いではありませんが、将来の電力を買うという意味で同じように思えるのですが。技術的に可能なのではないですか。

 すいません。何度も質問して。

筆者
 小生は、どこだかにFIT電力も非FIT電力も、直接契約できるし、取引所で取引できますと書いていたと思いますけど。それは、発電者がどう売るか、買い手がどう買うかだけの話です。どうするかは、それぞれがその都度どう判断するかですけどね。

 小生には、いまだにことばにばっかりこだわっていらっしゃるとしか思えませんけどね。

 実際の取引は、だれもグレー電力だということではなく、FIT電力か非FIT電力かで取引しているにすぎません。
それをグレーと呼ぶか、グリーンの呼ぶかだけの話で、どれも再生可能エネルギーで発電された電力です。

 ただもうメールでやり取りすると、揚げ足取りのような感じになるので、進展性がないと思いますけど。

筆者
 技術的に不可能というのは、こういうことです。

 先物買いといっても、再生可能エネルギーの場合は変動が大きいので、ほしいと思った時に再生可能エネルギーで発電された電力がなかったら、技術的には供給できないということです。でも、送電網には電気があるので、電力が供給され、停電することはありません。

 だから、再生可能エネルギーの供給というのは今はまだ帳簿上の辻褄合わせで、ある一定の期間を定めて(通常は一年間単位で)その間に必要な量を物理的に供給したとしているにすぎません。それは、本文でしつこく書いています。
再生可能エネルギーの場合は、そうして物理的に供給したとしかまだできないのです。それで実際に再生可能エネルギーでは供給できない時間帯をいかに少なくするのかが、一番の課題なのです。

 直接契約の場合、直接契約する発電者を増やせば、その発電者が電気を送電網に供給しておれば、それを同時に消費しているとみやしやすいのです。だから、単なる帳簿での辻褄合わせにはなりません。つまり、供給と消費の同時性を確保しやすいのです。なので、直接契約を増やしていけば、再生可能エネルギーで供給できない穴の時間帯を少なくしやすいのです。同時に、できるだけ同時性を確保していけば、再生可能エネルギーしたとという消費者からの信頼性も得やすくなります。

 ここにおいても、先物というこどばにだけこだわっていらっしゃるとしか思えませんが。


 

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